「ちょっと待って。」
玄関のドアを開けた僕に妻はそう言ってリビングに消えた。
なにやら慌てて色々やっているみたいだが、事前に言われてエレベーター前で帰宅のラインを送ったぞ、と待っていた。
慌てている妻に催促してリビングに入ると、無印のバウムクーヘンがテーブルに所狭しと並んでいた。
全部にイラストやメッセージが描かれている。
僕が昔描いた悪堕ちピカチュウとか、最近好きでたまらないピングー(?)とか。
「いや、これハンギョドン…」恐る恐る言葉にする。
「ピングーです。」言い切った。
あと、真ん中にケーキと、もう一つパンダのケーキ?
スイーツ過多である。
一つ3000カロリー越えのバウムクーヘン二つ、と不揃いバウム軍団。そして小さいとはいえホールケーキ二つ。
あとアクリルスタンド。アクリルスタンド!?
自分のアクリルスタンドだった。
チベットスナギツネみたいな表情で瀕死の顔をしている自分。
あと、ピングーとツーショット写ってるやつ。
その日は誕生日だった。