ふたりでつくる言語体系

「にょーん」

 

 

 


僕が妻より先に寝る時はアイマスクをする。部屋を消灯しては妻のやりたい事に制限がかかるからだ。

家事とかエアロバイクとか。

 

 

 

逆に彼女が先に眠る場合はアイマスクをすると暗くて怖いとのことで問答無用で消灯される。

ヒエラルキーの頂点なので僕は従うしかない。

 

 

 

 


いつものようにアイマスクをして寝ようと思うと妻が「にょーん」と言い始めた。にょーん?よくわからないが可愛い声なのでヨシとしよう。

 


妻は僕のことを「しゃん」と呼ぶのだが、これも出会って気づけばこう呼ばれていた。僕がシャンクスのモノマネをたまにしていたのでそうなったのかと思っていたが、関係が深まった結果、およと「さん」の「さん」が変化して「しゃん」になったらしい。

 

 

 

言語の音韻変化の歴史ってこうやって起きるのか、と感動したのを覚えている。

と同時に全く違和感なく「しゃん」を受け入れていた自分に驚いている。

 

 

 

数日経って定着しお互い「にょーん」と言いあっているが、これが何由来で本来どういう用法が正しいのかは今はまだ聞かないようにしておこう。

 

 

 

アイマスクの向こうで君が何をしていたのか、何を思っていたのか、とか。お互い忘れて無ければ良いのだが。