なにか付いてる?
と服を見ると虫が飛んできていた。小さな蜂みたいな、もしくは蜂みたいな小さなやつ。
虫には詳しくない。
あっちへ行け
と手で追い払った。
基本的に害虫以外は逃す。ある程度の大きさのものを殺すのはなんだか気が引けるので。
「なんか付いてますよ」
同僚が頭を指差す。追い払う。
「また来てますよ」
背中。追い払う。同僚は笑っている。
「家族とかですか?」
そうかもしれない。
前世の恋人とか家族とかが会いに来たのかも
「マスクについてますよ」
顔を振る。
追い払えた?
「いますね」
マスクを取って振る。
側から見たら奇行をしている人間だな、と思う。
奇行だ、仕方ない。
5分ほど格闘していたので全てが疑心暗鬼になる。
今やっている仕事に取り掛かるたびにこいつ襲ってきてないか?
仕事をやるな、という警告だろうか。
と思いながら仕事をしていると視界に違和感がある。
まさか。
眼鏡を取って見ると、眼鏡の内側に君がいた。
君がいたあらゆる場所。